STU48 5thシングル「思い出せる恋をしよう」発売記念!スペシャルインタビューSTU48 5thシングル「思い出せる恋をしよう」発売記念!スペシャルインタビュー

5thシングル発売記念!
スペシャルインタビュー

参加メンバー
1期生石田 千穂、今村 美月、瀧野 由美子、薮下 楓
2期研究生高雄 さやか、立仙 百佳

 STU48の新曲が9月2日にリリースされる。

 だが、これは本来ならば5月27日に発売されるはずだった。そう、新型コロナウィルスの影響で延期になったのだ。そんな経緯があったため、メンバーも無事発売されることにほっと胸をなでおろしている。
薮下 楓シングルを出せると聞いて、びっくりしました。この状況で出せるとはまったく思っていなかったので、「まさか……」という感じでした。
発売にあたってスタッフさんから、「こんな状況だからこそシングルを出して、ファンの皆さんを勇気づけることが大事なんじゃないか」と言われて、たしかにそうだなと思いました。
石田 千穂延期になる前の段階では、4thシングルから間をあけずに発売できるということで、「こんなに早いペースで発売できるんだ」って嬉しく思いました。
その時に次のシングルでは新しい試みをすると聞いて、ワクワクしていました。
今村 美月発売は延期になったけど、延びた分、いろんな気持ちを込めてレコーディングやMV撮影を頑張りました。
「もし世界が終わったとしても悔いのないように…」という歌詞が、いまの私たちが置かれている、握手会やライブができないという状況を思い出させてくれたので感情を込めやすかったです。
 今作は2作ぶりの全員選抜楽曲だ。AKB48グループは多くのメンバーから16~20人程度の選抜メンバーがシングルを歌うことが多いのだが、今回は全44人が選抜された。
STU48は1期生、ドラフト3期生、2期研究生、そしてAKB48と兼任中の岡田奈々とで構成されているグループ。キャリアに差はあるものの、全員が同じ土俵に立つことになった。
瀧野 由美子シングルの発売を聞いたのは、3月末の「STU48 祝3周年!3時間ニコ生スペシャル」の最中でした。全メンバーがそろっているタイミングで全員がシングルの表題曲に参加できると聞いて、すごく嬉しかったです。
立仙百佳2期研究生も参加させていただけると聞いて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。少しでもいい作品にしたいという気持ちが強かったです。
高雄さやか私たち2期研究生も参加させていただけるとは思っていなかったのですごくビックリしました。2期研究生全員、ドキドキとワクワクでいっぱいでした。期待をしてもらっているからこそ入れていただけたのでその期待に応えようと思いました。
 このシングルでSTU48は新たな試みに取り組んでいる。1曲につきMVを3パターン用意したのだ。ひとつは1期生(岡田奈々含む)+ドラフト3期生ver。もうひとつは2期研究生ver。
そして、2つの作品の合わせたMixver。1期生+ドラフト3期生verでセンターを務めているのが瀧野で、2期研究生verのセンターは立仙だ。
今村1期生・ドラフト3期生は現在の姿を、2期研究生は1期生+ドラフト3期生の過去の姿を演じているMVです。それぞれの作品が連続性のあるストーリーになっているんですけど、Mix verもちゃんとひとつの作品に仕上がっています。
瀧野バージョンが複数あると聞いて、初めは理解ができませんでした(笑)。
ただ、AKB48グループ初の試みということでデビューシングルからセンターをやらせていただき、今回も選んでいただいて、すごく光栄に思います。立ち位置は同じでも毎回新鮮な気持ちで取り組むようにしていますし、この場所に立たせてもらっているありがたさを噛みしめています。
立仙センターと知った時は自信がなくて、MVで上手な演技ができるかも不安でした。演技をすることが初めてだったのですごいプレッシャーを感じていました。振り付けを覚える時もプレッシャーで泣いてしまったほどです。
でも、ダンスの先生が私の目をじっと見て、励ましてくださったことで、「よし、頑張ろう」という気持ちになり、自然と笑顔になれました。
 MVの舞台になったのは、広島県呉市。ドラマシーンは「御手洗町並み保存地区」で撮影が行われた。大崎下島の東部にある同地区は、江戸時代から港町として栄えた地域で、平成6年には「重要伝統的建造物群保存地区」として国に指定されている。200年前にタイムスリップしたような錯覚を覚えるような、昔ながらの町並みが今回のMVの背景だ。
このあたりは、自然豊かな瀬戸内を拠点にするSTU48ならではのチョイスといえる。
瀧野私がSTU48に入ってすぐ、とある撮影で訪れて以来の御手洗地区でした。
私にとっては思い出の場所で、変わらない街並みがあるところが素敵だと思いました。私たちSTU48は進化することを求められていると思いますが、どこか変わらないものを提供して、ファンの皆さんにとって安心できるグループでありたいなと思いました。
また、1期生・ドラフト3期生verのダンスシーンは呉の港で撮影したんですけど、直前まで雨が降っていたんです。すると、大きな水たまりができたので、その前で踊ることになりました。水たまりにメンバーの姿がきれいに反射しているのも見どころです。
高雄海を見ると大きなエイが泳いでいたりして、自然を感じる場所でした。学校でも撮影したんですけど、空き時間にブランコに乗ったりサッカーをしたりして遊びました。小さい頃を思い出して、懐かしかったです。
今村1期生・ドラフト3期生verはフォーメーションの移動が多くて、振り付けの面でも角度をそろえることに重点を置いたんですけど、それでも今までのMV撮影より早く撮り終えることができたので、自分たちが成長できているのかなと感じることができました。
石田今までのMVは寒い時期に撮影することが多くて、寒さを耐え忍ぶ方法を学んできたんですけど(笑)、今回は暑い日の撮影でした。ハンディタイプの扇風機をスタッフさんがメンバーに当ててくれて、なんとか乗り切ることができました。
ロケ地でおススメの場所は「歴史の見える丘公園」です!瀬戸内の海や島にかかる橋が一望できるんです。MVでもそこからドローンで撮った映像が使われています。時期が落ち着いたら、ぜひ足を運んでほしいです。
 振り付けを担当したのは、辻本知彦。世界的ダンサーでありながら、Foorinの『パプリカ』などを手掛けたことでも知られている。STU48とは2ndシングル『風を待つ』、4thシングル『無謀な夢は覚めることがない』でもタッグを組んでいる。

瀧野辻本さんに振りを付けていただくのは3度目でしたが、明るい曲調のおかげで、踊っていてとても楽しかったです。
薮下フェイスシールドを表していたり、アルコール消毒して手を洗う仕草が取り入れたりしていて、辻本さんならではの世界観が振り付けに散りばめられています。
 MVは物語に従って進行していく。メンバーが内容を説明してくれた。
今村1期生・ドラフト3期生バージョンは、同窓会のためにみんなが久しぶりに母校へと集まるところから始まります。思い出の地を巡ったりしていると、学校の下駄箱でゆみりん(瀧野)が以前恋した同級生のことを思い出すんです。
瀧野私は渡せなかった手紙をずっとかばんの中に入れてあったんです。
今村それをみんなに冷やかされるんですけど……最終的にはその手紙を紙飛行機にして投げてしまうんです。
瀧野持っていてももう渡せないものなので(笑)。恋が終わる瞬間ですね。
今村2期研究生verは、私たちがまだ学校に通っていた頃のお話です。ゆみりんの役が立仙ちゃんです。ストーリーはまったく同じではなくて、手紙を男の子の下駄箱に置くんです。
石田男の子がその手紙を持って、桟橋にいる立仙ちゃんのところへ来るんだよね。あの時の「えっ!?」っていう表情が好き(笑)。どんな気持ちで待っていたの?
立仙まさか相手が来るとは思っていなくて、突然来たからビックリしてしまい、ドキドキしている表情です(笑)。

薮下男の人がMVに出てくるのはSTU48では初めてかもね。
 MVでのお気に入りのシーンをいくつか挙げてもらった。
立仙私が好きな男の子に告白すると決まって、じゃあ何で告白するのかをクラスメイトが話し合う場面があるんですけど、手紙で告白すると決まって、みんながニヤニヤしながら私のほうを向いた時、実際にこういうことがあったらこういうふうに恥ずかしいんだろうなという気持ちになりました。
みんなでわいわいしながら撮影できたので楽しかったです。
薮下3人のメンバーが桟橋で足をぶらぶらさせながらお話ししている場面では、演技というよりも、しょうもないことで爆笑しているところが使われていました(笑)。
今村ラムネで乾杯しているシーンがそれぞれのバージョンで使われているんですけど、先輩の乾杯と後輩の乾杯がすごく対照的で、Mix verでは違いがよく出ています。
石田2期研究生が着ている制服は、今までのSTU48では見たことがないような水色で。STU48のグループカラーは水色なんですけど、2期研究生にもすごく似合っていて、かわいいなと思いました。
瀧野1期生・ドラフト3期生のほうは、スタイリストさんが用意してくださった衣装からメンバーが好きな衣装をそれぞれ選びました。メンバーの個性が出ているので、そこにも注目してほしいですね。

 ところで、このMVにはひとつの謎がある。現在を生きる瀧野が手紙を持っていたということだ。
立仙が演じるところの過去の瀧野は、男の子に手紙を渡している。だが、その手紙は現在の瀧野の手にある。過去において手紙を返されていないと矛盾が生じる。だが、そういったシーンは描かれていない。どういうことなのだろう?
石田私は絶対両想いなんだと思っていました。違うのかな?
薮下私もそう思った!過去の素敵な思い出っていう……。
瀧野どうなんですかね~。これは観た方の解釈でストーリーを作っていただければいいと思います。
 STU48にとっては珍しい恋愛ソングに立ち向かう立仙の演技には、ぎこちなさとあどけなさが残っている。初めてのMVだから、観る者はそれを楽しめばいいのだが、主役の重責も感じさせてくれる初演技だった。センターの役割をデビュー以来こなしてきた瀧野は、そんな立仙の気持ちを誰よりも理解していた。
瀧野2期研究生が撮影をしている現場にいることはできなかったけど、センターに立った人しかわからない重圧というものがあります。完成した映像を観て、頑張っているなと思ったし、重圧に押しつぶされないように守っていこうと思いました。
立仙瀧野さんに会うと、「いつでも相談してね」と必ず笑顔で話しかけてくれます。優しいお姉ちゃんみたいです。ただ、私が人見知りなので、まだ相談できていません(笑)。
 ここで立仙の人となりを紹介しておこう。高知県出身の高校1年生で、ニックネームは「ももちゃん」。昨年10月、2期研究生オーディションに合格し、12月にお披露目された。加入してから1年にも満たない。今回のMVは大抜擢といえる。
姉はAKB48 Team 8の立仙愛理。積極的でよくしゃべる姉と対照的に、妹は人見知りだという。
高雄普段はみんなを楽しませようと振る舞ってくれます。でも、お仕事になったらしっかり者に変身します。15歳なのにすごいなって思います。
薮下1期生とはほとんど関わることがなかったんですけど、取材の受け答えもしっかりしていて、「ホントに15歳!?」ってビックリしました。
 MVの撮影日、メンバーは久しぶりに顔を合わせることになった。新型コロナウィルスの影響により、ステイホームを余儀なくされたからだ。
今村久しぶりに会ったら、みんな美意識が高くなっていたことに驚きました。ステイホーム期間中に筋トレを始めた子や食生活に気を配っていた子ばかりで。みんなで「こんな筋トレやってた」という筋肉トークで盛り上がりました。
瀧野久しぶりの再会だったから、楽屋では話が尽きませんでした。それまでの数か月間はお仕事があってもZoomでの対談だったりしたので。
高雄私は毎日自炊をして過ごしていました。以前は豚キムチしか作れなかったけど、夏野菜のカレーとか生姜焼きを作れるようになりました。
 コロナ禍はエンタメの世界をストップさせた。アイドルにとっても決して他人事ではなく、握手会、劇場公演といった、彼女たちにとって主軸となる活動を奪った。これによってメンバーの意識も大きく変化した。
薮下ファンの方と直接会うことが難しくなってしまいました。しばらくはオンラインでのイベントに限定されてしまいます。
AKB48グループは毎週のように握手会があって、ファンの方もメンバーもそれをモチベーションに活動してきました。ファンの方は、「明日、メンバーに会えるから、今日の仕事を頑張ってやってしまおう」とか思っていたはずです。これからはファンの方が週末を楽しみにしてくださるような〝ご褒美イベント〟があればいいなと思います。
ステイホーム期間に学んだことは、誰かと会わないでいると人は寂しい気持ちになるということです。コミュニケーションを取り続けることを忘れないでいたいです。そして、他のグループとも違う色を出していきたいので、スタッフに任せっきりじゃなく、メンバーからも提案していきたいなって、考えが変わりました。
石田私は自粛期間中に毎日「おうちほ公演」といって、配信で踊っている姿をお届けしてきました。直接会場に来ることが難しくなっていくと思ったので、これからは画面を通したコンテンツを増やしていこうと思っています。
 コロナ禍の間、衝撃的なニュースもあった。船上劇場を行ってきたSTU48号が来春をめどに専用劇場としての役割を終えるというのだ。
昨年4月に就役したばかりだったが、やむを得ない決断を下すこととなった。来春以降は場所を固定せず瀬戸内各地でパフォーマンスしていく予定だという。
今村私たち1期生は、船の完成を待ち焦がれていました。オーディションの時点で、STU48は船の上で公演を行うと聞いていたからです。去年、ようやくできたときは本当に嬉しかったです。
専用劇場ではなくなると聞いて寂しかったけど、STU48の未来を考えたうえでの決断だったんじゃないかと前向きに考えています。来年の春までの予定なので、残された期間は、瀬戸内7県のうちまだまわり切れていない場所に行ってみたいです。
 立ち止まっていても始まらない。STU48はすでに動き始めている。
「Drive in LIVE」はその一環で、観客は車に乗ったままの状態で目の前のライブを楽しむという企画だ。車内のファンが指定された周波数にチューニングするとライブ音源が聞こえてきて、ソーシャルディスタンスを保ちながらライブを楽しむことができるという仕組みだ。
石田ファンの方は車をデコレーションしてくださって、一緒に楽しんでいます。私たちがステージ上から「楽しんでますかー?」と呼びかけると、ウィンカーをパチパチさせたりワイパーを動かしたりして、反応してくれるんです。
瀧野夜になると車のライトで照らされて、とってもきれいなんです。今まではペンライトだったけど、これからはウィンカーになるのかな(笑)。
 瀧野が「STU48は進化することを求められている」と話すように、たしかにエンターテインメントとはそういうものかもしれない。
しかし、STU48から多くの人たちが連想するものは「地方都市に暮らす少女たちが紡ぎだすノスタルジー」だ。それは進化と対極にあるものではあるが、その両輪を同時に転がして活動していくのがSTU48なのだろう。
この曲、特にMVは、そんなふたつの軸が交差している。STU48とは何か?その答えはMVに詰まっている。